人と自然・光り輝く郷土芸能伝承の郷
第1次計画 平成17年度~平成26年度
第2次計画 平成27年度~平成31年度
1 位置と自然条件
広瀬地区は市の北部にあり、北上市と隣接する東西8㎞、南北4.5㎞、面積24k㎡の純農村地帯である。
市内30地区の内で面積、人口、世帯数共に小さい地区であるが、近年道路網の整備により市中心地まで、車で20分の距離にある。
地区内を広瀬川、口内川の二本の河川が貫流し、川の両側にはこの河川の移動等によってできた平坦な沖積層が広く分布し軽石、鴨沢、一二三の関、歌書の大部落に肥沃な農地をもたらしている。
気候は温暖で、年平均気温10~12度、年間降水量は1.000㎜、積雪も少なく豊沃な地質と相まって良質な農産物の産地でもある。
2 人口、世帯数
広瀬地区の人口は1,116人、世帯数は419戸(令和2年4月1日現在)となっており、市内30地区では人口、世帯数共に少ない地区である。
昭和55年当時の人口約2,000人、世帯数430戸と比較し人口減が著しいものの世帯数はそう大差はなく、一家族あたりの世帯員の減少が伺われる。
これは高齢者のみの世帯増加と、少子化が一因と考えられる。また、三区分毎の人口割合は年少人口10.24%、生産年齢人口57.03%、老年人口32.73%となっており著しく少子高齢社会となっている。
3 地域の特性
※生活基盤
地区内の道路網は国道456号線、県道口内伊手線が地区の動脈道として走り、市道70路線が網目状に網羅され、その延長は約57,300mで改良率、舗装率とも約60%の整備率である。
今後、整備が必要な路線は23路線であり、特にも生活に直結する路線で緊急車両や除雪車両及び通学路線で交通量の増大している路線の整備が緊急課題である。
また、国道には歩道が設置してあるものの一部未整備分があり、県道には歩道の整備が全く無い状況であり早急な整備が必要と思われる。
また、国道と県道が交差する交差点は朝夕の交通量が多く信号機の設置が望まれる。
主要河川の広瀬川及び口内川は未改修部分があり早期の改修が必要である。
橋梁整備は緊急車両等も通行できない橋もありその改修整備が必要である。
※産 業
地区内の産業は農業が主であるが平均耕地面積が1.49haと小規模農家が多く、5ha以上の農家はわずか8農家のみで、第2種兼業農家が主である。また、就農者の高齢化や兼業への対応として、農業生産法人の設立や営農組合の設立など、集落営農への転換の動きがみられるが、圃場は10a以下の区画が多く作業効率上や採算性から再度の圃場整備が必要であり、現在、地区内3ケ所の圃場整備が実施・計画されている。
地区内に良質のりんごを生産する「りんご団地」が2団地あり、2つの生産法人において経営されている。
また、きゅうり、ピーマン、ナス等の野菜の生産も盛んであり、菌茸類と果樹を合わせた販売実績は江刺10地区内で第3位を誇っている。
畜産は、子牛生産及び肥育牛が主であるが、飼養農家の高齢化により飼養頭数が減少気味にある。近年、羊の飼育が行われるようになり、良質な肉は地区内に新たな産業を生むものと期待されている。
※林 業
地区内の林野は総面積の55.2%もあり、そのほとんどが里山である。近年木材の需要は、外国産の木材に押され山林資源の活用が図られていない中で、栗、梅等の果実木や山菜、山野草の植栽など里山の利活用が図られ「里山体験」として大勢の方が来場するイベントが開催されているのを、より一層活発化させる必要がある。
※商 業
地区内の商店は3店舗で衣料品が1店舗、その他日用雑貨が2店舗となっている。
食料品などは通勤帰りに岩谷堂、北上の大型店で購入する家庭が大半であるが、車を持たない家庭や高齢者のみの世帯が増加することを考えれば、地元の商店の維持・活性化方策も必要である。
※健康福祉
少子高齢化の進行と一人暮らし・高齢者世帯が増加し、人口減少が続いており、家族や地域社会の共助活動が必要となっている。
住み慣れた地域で安心して暮らせるためには、地域福祉の充実を図ることが重要課題であり、地域医療の充実、地元施設の活用など創意工夫をして、高齢者との交流や健康づくりの意義の啓蒙を図ることが望ましい。
高齢社会の進行や家庭環境の変化により、日常生活が困難な世帯に対して支援できるボランティア組織の体制づくりが必要となっている。
健康づくりには、安全安心な食糧確保が必要であり、自然豊かな郷(広瀬)で育てた農畜産物を活用し、郷土料理の伝承と開発が必要である。
※生活安全
地区内を国道456号線が南北に縦断されていて岩谷堂・水沢方面へ、また東西には県道口内伊手線が走り北上市へと通じている。
国道の歩道は未整備部分があり、県道には歩道の設置がなく、歩行者特にも小中学生の登下校時及び高齢者の交通安全確保が課題である。
大きな犯罪や事件は発生していないが、地域ぐるみでの防犯意識の高揚やパトロールの実施などで青少年の健全育成に努める必要がある。
防火対策として、引き続き意識の高揚を高めるとともに施設も充実を図る必要がある。また、総合防災対策として災害時の行動マニュアルの作成が必要である。
※生活環境
自然に恵まれた環境を生かしきれていない部分が見受けられるので、自然を利用した地域開発を目指す必要がある。
上水道は整備されているものの、一部未設置の集落もあり、早期の整備が必要である。ごみ収集体制は燃えるごみは週1回、不燃物は月1回の収集であるが、屋外での焼却が禁止されたことにより、収集回数の増加を必要としている。
生活雑排水(し尿含み)については、農業集落排水が一部完工されたものの、残り地域の普及は雑排水処理計画の見直しにより、合併処理浄化槽での整備になることから早期の整備が必要である。
地域環境づくりはゴミの減量や自然を活かした地域づくりを目指し、リサイクルの推進や花壇づくりなど環境美化推進になお一層努める必要がある。
※教育文化
地区内に小学校1校、保育所1施設存在しているが、近年の少子化傾向により子ども達のつながりが少なくなってきている。
同時に児童数の減少により複式学級が実施されている。学校存続のため、大胆な学区の再編や、都市部の子供を受け入れる山村留学なども視野に入れていく必要があると思われる。
郷土芸能が盛んで密度の高い芸能活動を行っており、地域の世代間交流や教育力の向上に一役買っているものの自治会館等を中心とした活動のため、練習等にも支障をきたす現状であり、今後の活動をより充実発展させていくためには、団体が一同に会し気楽に使用でき、また郷土芸能を広く県民、市民にPRできる公立の郷土芸能伝承館のようなものの設置が必要と思われる。
スポーツ活動が盛んで熱心であるが、日中(土、日)に行われることが多いため、夜間も活動できるようなナイター照明施設等の充実が必要要となっている。
※住民組織
当地区はかなり以前から住民自治意識が浸透している。
昭和55年「郷土芸能伝承のむら」指定を契機として、8行政区に自治会が設立され、その集合体として地区振興会が組織され、地域課題の掘り起こしや地域づくりの活動体として機能している。
Ⅰ.均衡の取れた郷づくり
(1)道路環境の整備充実 「振興総務局、自治会長会」
・現道舗装の推進・改良拡幅舗装整備・市道認定・林道の整備
・道路清掃(道路肩草刈)等の実施
(2)橋梁環境の整備充実 「振興総務局、自治会長会」
・橋梁架け替え
(3)河川堤防の整備 「振興総務局、自治会長会」
・改修整備・中州の撤去・河川清掃の実施
(4)公共施設の整備維持 「振興総務局、自治会長会」
・現有施設の有効利用・福祉施設等の整備充実
Ⅱ.健康で明るい郷づくり
(1)健康づくり⇒早期発見・早期治療 「環境保健部、社会福祉部」
・各種健康検診の充実・通院バスの充実・健康づくり講演会の開催
・乳幼児対象事業・出前健康相談等の開催
(2)高齢者対策⇒自立と支援 「社会福祉部」
・地区老人福祉施設の設置 ・地区内各施設の活用 ・独居、老人世帯との交流
・ミニディサービスの開催 ・敬老会の開催
(3)ボランティア活動⇒共助活動で快適な生活を「社会福祉部」
・地区ボランティア組織の結成
(4)食の安全対策⇒安全安心な地場産品の活用「振興総務局、環境保健部(食改善)」
・農産加工施設の設置 ・郷土料理の伝承
Ⅲ.快適で住み良い郷づくり
(1)自然を活かした空間の整備 「振興総務局及び自治会長会」
・公園整備・水辺環境美化事業・フラワーロード整備事業
(2)居住環境整備 「振興総務局及び自治会長会」
・ 上水道整備事業・下水道処理施設整備事業・IT化の促進
(3) 棄物の適正処理とリサイクルの推進 「環境保健部、自治会長会」
・廃棄物の適正処理・不法投棄防止・リサイクルの促進
・清掃活動の実施
(4)バス対策 「振興総務局」
・定期バス運行の確保
・地域内交通の確立
Ⅳ. 安全安心で暮らせる郷づくり
(1)防犯対策 「生活安全部」
・防犯灯の設置管理 ・見回り隊の設置 ・犯罪防止対策
(2)交通安全対策 「振興総務局、生活安全部(交通安全母の会)」
・歩道の整備 ・信号機や道路標識の設置 ・交通安全立哨活動
・看板や啓蒙旗の設置
(3)消防防災対策 「生活安全部(消防団第19分団、消防協力会)」
・防火水槽、消火栓の設置 ・火防点検の実施
(4)危機管理 「振興総務局、生活安全部、自治会長会」
・災害時の行動マニアルの作成 ・防災訓練の実施 ・警察駐在所の設置
・地区内危険個所の点検及び危険個所を地図表示
Ⅴ.はつらつとした心豊かな人郷づくり
(1) 青少年の健全育成⇒郷土を理解する、先人から学ぶ、青少年の活動の場の提供、家庭・地域で見守る
「社会教育部(教育振興会)」
・広瀬っ子探検隊 ・広瀬っ子体験塾 ・家庭教育、地域社会の教育力の向上
(2) 生涯学習体制⇒生涯を通しての学習体制づくり、中でも高齢者の学習体制
「社会教育部、婦人部、青年部」
・人生講座の開設 ・IT関連機器整備講習 ・地区センターのホールの活用
(3) 芸術文化⇒郷土芸能伝承活動、芸術鑑賞等文化活動の推進
「社会教育部(芸能保存会)」
・郷土芸能伝承活動 ・芸能情報発信事業 ・県立郷土芸能伝承館の誘致
(4) 生涯スポーツ⇒年齢を超え、地区一体となったスポーツの推進「社会体育部」
・年齢を超えたスポーツの推進
(5)生活文化 「振興総務局」
・記録活動 ・新住民等との融和
※注意「 」は事業計画や事業実施検証を担当する部署です